本記事の執筆者
 小規模不動産特定共同事業 神奈川県知事 第3号 として、実際に不動産投資クラウドファンディングを運営している、株式会社ダイムラー・コーポレーション 執行役員専務 畔辻 智洋
 2019年に始めた小規模不動産特定共同事業の許認可取得から関わり、実際のプロジェクト立ち上げやマーケティング戦略などを一貫して担当。

そもそも不動産会社にとって「不動産特定共同事業」とは何か?

「宅建業者」が「一般投資家」から「不動産事業を行う目的」で「資金調達」できる方法です。

 不動産特定共同事業の許可(登録)を受けると、一般投資家から資金を集めることが可能になります。ポイントとして、「金融庁の許可(金融商品取引業など)が不要※」なため、金融庁の厳しい制約を受けることなく、資金調達が可能となります。

※不動産特定共同事業 第4号事業者 のみ、金融商品取引業の登録が必要です。

 一般的な活かし方として、「銀行融資が出にくい不動産事業を、一般投資家からの資金調達で行う」ことです。例えば、郊外の築古の空き家などを取得して改修を施し、賃貸収益を得るまたは売却益を得る事業の場合、銀行融資の評価が足りず、断念したことはありませんか?そういった時に、資金源として一般投資家から資金を集めて事業を興すことが可能です。

 他にも、所有権だけでなく「借地権」の不動産にも使うことができるため、借地を扱う不動産会社にとっても非常に有益です。

 しかし、「不動産特定共同事業」はこれだけではありません。今、急激に不動産投資クラウドファンディングが増えているワケは別にあります。

 それが「投資家の集客」です。

 収益不動産を扱う不動産各社にとって、「まっさらな自社独自の投資家リスト」は喉から手が出るほど欲しいですよね。特に、金融機関の引き締めが強くなってからは、「高属性」で「残債が無い」投資家にアプローチしたいと思っているはずです。(弊社もその一つです。)

 不動産特定共同事業を取得して、不動産投資クラウドファンディングを行う目的として、「不動産投資にまだ染まっていないが、投資に興味がある層」を獲得するため、というのがあります。一般消費者から見れば、不動産投資というのはハードルが高く、「たくさん勉強しないといけない」「悪徳業者にだまされるかも」「借金を背負うなんてハイリスクだ」といった感想が多いように思います。そういった、経験値の浅い投資家に対して、「まずはお金を預かって、しっかり利益を返す」という、投資の基本であるメリットを与えることで、会社の信用は高まります。

ダイムラー・コーポレーションの実績

 ダイムラー・コーポレーションでは、小規模不動産特定共同事業として「DAIMLAR FUND (https://daimlar.info/)」を運営しています。そこでの実績を一部ご紹介します。

 清算済みのプロジェクトである「001 板橋本町マンション」については、以下の通りです。

【プロジェクト概要】
募集総額 1000万円
一般投資家からの募集総額 700万円
利回り 7.0%
期間  6ヶ月

中古区分マンションを仕入れ→修繕を行い、3ヶ月程度運用→売却清算

 上図はざっくりとした概要ですが、一般投資家に優先的に利息を分配し、その残利益を弊社が取得する形でプロジェクトを実行しました。(細かい収支は全て投資家に公開しました。)

 よくある区分買取再販事業にクラウドファンディングを載せたような形です。

【事業者側の概要】
広告宣伝費 10万円程度
新規登録者数 87名
出資当選者数 20名

【その後のアプローチ】
→プロジェクト終了後、本件の収支を細かく全て投資家へ公開
→不動産投資について詳しくご案内
→1名のお客様に新築木造アパートをご購入頂きました

 不動産投資クラウドファンディング事業を行う一つの成功例である、「本業(収益不動産仲介業)への誘導」が成功した例です。まずはクラウドファンディングで興味をもってもらい、利益を返したうえでその収支を公開して信用を頂き、その後不動産投資について詳しくご面談して、成約に至りました。

 不動産投資クラウドファンディング単体で、運用益を分配する方法の場合は、単独収益が出にくいですが、本業と組み合わせて集客や顧客体験の一つとして提供することが可能です。

不動産投資クラウドファンディング事業を始めるには?

 本記事を読んで、「自社でも何かチャレンジしてみようかな」と思って頂けたら幸いです。ここからは、実際に不動産投資クラウドファンディング事業を始めるには何が必要か、詳しく解説します。

【共通要件】

① 不動産特定共同事業・小規模不動産特定共同事業
 ・宅建業免許
 ・資格者(どれか1つ、最低1名)
  ・不動産コンサルティングマスター
  ・ビル経営管理士
  ・不動産証券化マスター

② 電子取引業務
 ・不動産特定共同事業&電子取引業務の要件を満たしたシステム

【個別要件】

個別要件不動産特定共同事業(許可)小規模不動産特定共同事業(登録)
資本金1億円以上1000万円以上
募集総額上限*無制限1億円
1投資家の出資上限*無制限100万円
会計監査必須不要

*募集総額上限:投資家から同時に預かることができる金額の総額です。運用しているファンドが終了し、投資家へ償還したら、その分がまたファンド組成可能になります。

*1投資家の出資上限:1人の投資家から同時に預かることができる金額の総額です。運用しているファンドが終了し、投資家へ償還したら、その分また投資家から預かることができます。

 共通要件(他にも細かいものがあります)と個別要件の両方を満たし、申請書(30枚~50枚ほどあります)を書き上げれば申請できます。
 所属の宅建指導課に問い合わせて、担当者と打ち合わせをします。4回ほどに分けて宅建指導課と面談をして、細かな内容を調整し、最終的に書類が受理されてから2、3ヶ月ほどで許可が下ります。
 初めて相談した時から許可まで半年~1年程度かかります。

クラウドファンディング専用のシステムの開発

 許可の申請と平行して、クラウドファンディング専用のシステムの開発を進めます。WEB上でクラウドファンディングを行うには「電子取引業務」の要件を満たす必要があり、許可申請時にもシステムの構成や文言などが指摘されます。

 クラウドファンディング専用のシステムの開発費用は500万円~1500万円とばらつきがありますが、SaaS型のシステムが多く提供されています。SaaS型は提供速度が速い一方、事業者に応じて細かな変更などをしにくいのが欠点です。特に、まだ事業を始めて間もないうちは、「やっぱり変更したい」と思うこともたくさん出てきます。その時に、都度修正費用がかかることも想定しておく必要があります。

 クラウドファンディング専用のシステム開発の他に、行政書士に申請を依頼する場合は、その費用(200万円~300万円が相場)も考慮しておく必要があります。

 「色々調べたけど後から費用が増えたら困る・・・」
 「システム会社が行政書士のいいなりで開発費用が高騰していく・・・」
 「クラファンを始めたはいいものの、どう運用したらいいか分からず、止まってしまった」

そんな悩みを抱えている方には、ぜひ「BLITZ CFS」をおすすめします!

【BLITZ CFS が選ばれる理由】
 株式会社ダイムラー・コーポレーションが開発した「BLITZ CFS」は、事業者としての経験をもとに自社開発した不動産特定共同事業用クラウドファンディングシステムです。電子取引業務の要件を満たすのはもちろんのこと、担当者が不安になる「実務」や「許認可」のサポートまで一貫して行います。
 システム開発会社とは異なり、「実際のところ運用ってどうやるの?」という疑問にも実務者としてご相談頂けます。さらに価格は業界最安値でありながら行政書士費用もかからないため、事業スタートまでの費用が圧倒的に安いのが特徴です。
 実務者として許可申請も行っていましたので、「実務を知らない行政書士・システム会社・行政」に比べて、より身近な目線で具体的な支援を行っています。

 そもそも不動産特定共同事業とは?どう活かせるの?うちの事業に合う?

 そういった素朴な疑問もご相談頂けますので、ぜひご相談ください。

不動産クラウドファンディング事業者が開発した
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