クラウドファンディングから本業の売上に繋げる方法とは?

前回( クラウドファンディングによる集客効果)では、不動産特定共同事業によるクラウドファンディング事業は事業単体ではメリットがほぼ無いことをお伝えしました。

そこでクラウドファンディングを集客ツールとして捉え、潜在層の顧客へのアプローチ手段として利用することで、本業に様々なメリットがあります。

①不動産投資に興味が無かった層へアプローチできる

②小さな成功体験を積み重ねることで顧客との信頼関係を形成できる

③自社のことをより知ってもらう機会を作ることが出来る

これらを達成することで、クラウドファンディングから本業への流入を増やし、本業の利益獲得へつなげることができます。

今回はクラウドファンディングからどのように本業へ繋げるかのマーケティングルートについて解説します。


集客から商談までの全体図

①潜在層の集客

②ファンド案件作り・出資募集

③配当・投資成果の紹介

④本業商品・サービスの紹介

⑤商談への誘導


①潜在層の集客

まずはクラウドファンドへの集客を行い、新規会員を獲得する必要があります。

集客は広告を行って認知度を高める必要がありますが、広告で誘導した投資家が会員登録をするためにはいくつかポイントがあります。

・投資案件としての魅力(特に利回り)

・客観的にみた不特事業者の信用度(口コミ・評判・財務状況)

・会員登録が面倒でないか

まずは配当予定利回りです。

相場は変動しますが、4%~8%程度が相場です。高ければ高いほど魅力的ではありますが、投資家も高い知識を持っていますので、その投資案件が本当に可能かどうかを説明する必要があります。

次に不特事業者の信用度です。

クラウドファンディングはソーシャルレンディングと近しいため、ソーシャルレンディングでの問題や不祥事などの影響を受けます。投資家も詐欺ではないかと案件や会社を疑っていますので、口コミや評判を知るのに加えて、財務状況を公開したり、事業の詳細を告知したりして信用を得る必要があります。

最後に会員登録が面倒ではないことです。

会員情報を取得するにあたり、より多くの顧客情報を得たいものですが、それにより会員登録時の入力項目が多すぎると離脱も多くなります。事業運営に不要な項目はなるべく減らして、簡単に登録できるようにしたほうがよいです。


②ファンド案件作り・出資募集

投資する案件が無ければクラウドファンディングは始まりません。

募集する出資金の範囲は、対象の不動産に関連するものであれば概ね認められます。(修繕費や運営費など)

法令上のファンド計画の原則としては、事業運営者が年間で一定額を事業者報酬として受け取り、残った利益を投資家に還元するという仕組みです。そのため運用の結果、事業者報酬を差し引いたあとの利益が予定利回りを下回る場合は、投資家が負担することになります。

しかし、それでは投資運用会社として面目が立ちませんので、実際のところは投資家利益を先に差し引き、残った利益を事業者が貰うという契約内容にすることが多いです。

案件の計画が出来たら、出資を募集します。

募集の方法は「抽選方式」「入金方式」の2つが多いです。

抽選方式は一定期間の募集期間を設け、その間に出資申込みを受け付けます。募集期間が終了したら、集まった出資申込みの中で抽選を行い、当選者に出資金の入金案内を送ります。1週間程度の入金期間を設けて、入金が確認できたら契約成立とする方法です。

入金方式は、募集期間中に出資申込みを行った人に対して即座に入金案内を送り、入金確認が出来た順に出資申込みを確定させていく方法です。

どちらの方式もメリット・デメリットがありますから、自社の運用スタイルに合った方式を選びましょう。


③配当・投資成果の紹介

案件運用期間中は特にクラウドファンディングで操作するものはありません。

その間は、定期的に自社紹介や商品紹介のメールマガジンを送付することが多いです。

運用が終了するときには、速やかに配当の明細を作成し、返還日などの案内をします。

それに合わせて、出資した案件が具体的にどのように運用され、いくら利益を得られたのか解説するとよいでしょう。

事業者の資産設計・運用力を裏付ける具体的に事例となります。

自社商品との関連性が薄い場合でも、企業理念や顧客に対する誠実さが伝わるように意識します。


④本業商品・サービスの紹介

案件が終了し、配当が完了し、投資成果を紹介することで、はじめて顧客は本業商品・サービスに関心が向きます。

そこから、メール・WEBサイト・DM・お電話などの方法を用いてお客様へ本業のご紹介をしていきます。


⑤商談への誘導

ここからは自社の営業担当者と連携しながらお客様を営業へ送客していく流れになります。

案件と紹介する商品の再現性などを中心に説明していくと、お客様も案件の流れから理解して頂きやすいです。

あくまでも、クラウドファンディング経由のお客様であるという点を意識して進めていきましょう。


まとめ

中小不動産会社こそ、丁寧に自社の魅力を伝えていく必要があります。

クラウドファンディングは実際に投資をして頂くことで、不動産投資に比べて短期間で小さい投資成功体験を提供できる良い場所です。

そのメリットを活かし、顧客からの信頼を勝ち取ることを意識して情報提供などを行っていきましょう。

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