不動産特定共同事業法 で何ができるのか?
簡潔にいえば、「一般投資家から資金を集め、その資金で不動産事業ができる」ということです。
何の許可も無く、一般投資家から利息をつけて返すことを約束して資金を集めることは、出資法等で禁じられています。
不動産特定共同事業法 は、「特定の不動産を運用するために、資金を集めること」を限定的に許されるということです。
一般投資家:プロ投資家ではない、一般の人々のことを指す。プロ投資家とは、国や行政、金融機関など、金融商品取引について法的に保護する必要が低いと位置付けられた機関のこと。
不動産事業:賃貸、売買など、普段不動産会社が事業として行っていることはおおよそ不動産特定共同事業として認められる。特殊な事業と思われる場合は、所轄の都道府県宅建指導課に相談してください。
ずばり、 不動産特定共同事業 は儲かるのか?
不動産会社仲間から一番聞かれる質問ですが、「銀行融資で不動産事業ができているなら、金銭的なメリットは少ない」と思われます。
そもそも、不動産特定共同事業は利益を新たに生み出すための事業ではなく、「資金調達元の幅を広げるため」のものです。
現在の不動産事業において、銀行から十分に融資を受けられるなど、資金調達に困っていなければ、わざわざ高い金利で一般投資家から資金調達をする必要性は無いと思われます。
事業や会社によりますが、大抵のプロジェクト融資として提携の金融機関から不動産事業資金を調達しようと思えば、金利1%~3%程度でできると思います。一方で、一般投資家から資金調達をしようと思えば、それなりに魅力的な金利を提示しないと投資意欲が湧きませんので、5%~10%程度で募集することになると思います。
そのため、金融機関から融資を受けられるのにわざわざ高い金利を払って資金調達をすることになれば、事業としてはむしろマイナスになります。
ではなぜ多くの不動産会社が 不動産特定共同事業 に参入しているのか?
ほとんどの不動産特定共同事業参入企業の目的は
①資金調達
②集客
の2つだと思われます。
①資金調達
前述の通り、資金調達に困っていなければ目的としては薄いですが、
銀行融資を得にくい事業、例えば、築古、郊外・地方、借地権・底地といった場合、融資額が伸び悩み、事業計画を断念することもあると思います。懇意にしている銀行のエリアが限られていて融資してくれない、ということもあるでしょう。
こういった時に不動産特定共同事業は便利です。投資家に説明を行い、納得して投資してもらえるのであれば、対象とする不動産はほぼ無制限です。また、現金として資金調達を行うため、資金の利用タイミングが読みにくい場合にも適しています。
今まで「この不動産事業できたら儲かるだろうけど、現金が足りないから諦めるか・・・」となっていた案件が実現可能となるのです。
ただし、小規模不動産特定共同事業者で登録した場合は1億円制限(投資家から募集する資金の合計額が1億円までである制限)がありますので、長期案件や金額が大きすぎる案件は難しいでしょう。
②集客
資金調達に悩んでいないであろう不動産会社が不動産特定共同事業を行っている場合は、「集客」が目的でしょう。
事業者は出資者と直接契約するので投資家の確かな情報を入手できますし、投資家から見ても投資先の会社のことはよく調べますので、結果的に自社商品を知ってもらうきっかけになります。
不動産特定共同事業はあくまできっかけ作りで、メインは自社を認知してもらうこと、ファンを作ることだったりします。
マーケティングの考え方で「顕在層」と「潜在層」というものがあります。
顕在層とは、「すでに不動産について調べている人」です。インターネット等で「マンション 購入」「不動産投資 アパート」などと検索していたり、ポータルサイトを眺めている人が顕在層にあたります。
潜在層とは、「まだ不動産について調べていない人」です。具体的に不動産を探しているわけでは無いため、何で検索しているかはわかりません。そもそも興味が無いかもしれません。
ポイントとして、リスティング広告(インターネットの検索欄に広告すること)やポータルサイトに物件を掲載することで流入するのは「顕在層だけ」ということです。例えば、自社のリスティング広告のキーワードに「横浜 不動産」と設定した場合、当然お客様側が「横浜 不動産」と検索していないと、自社の広告は表示されません。(※もちろん、各広告媒体で拡張機能として潜在的なお客様にも表示してくれたりしますが、いずれにしてもある程度需要が顕在化している人をターゲットにします。)
つまり、今のインターネット広告のほとんどはこの「顕在層」を不動産各社で取り合っているような状態です。
もちろん顕在層を獲得することも大事ですが、それだけでは競争が激化して広告費が上がる一方ですので、「潜在層」を見つけることも大事になってきます。
不動産特定共同事業で狙っているのは、不動産については特に調べていないが、投資には興味がある潜在層です。不動産特定共同事業をクラウドファンディング化することで、株式投資や投資信託と似たような投資感覚になるため、不動産ではなく「クラウドファンディング」で潜在層のお客様を獲得することができます。
このような「不動産についてはまだ興味は無いが、投資には興味があり、実際にチャレンジしたい人」に、不動産特定共同事業クラウドファンディングを通じて自社を知ってもらい、不動産投資にチャレンジしてもらうことが、集客の目標だったりします。
おわりに
弊社は自身が不動産特定共同事業者としてクラウドファンディングを運営しながら、不動産会社仲間に不特事業について解説しています。
「そもそも自社の事業に不特事業が合うのか?」
「具体的に何をして事業を行えば良いのか?」など
誰も教えてくれない「実務」について、同じ不動産会社としてご相談に乗ります。
もし、クラウドファンディング化することで、大きな成長を見込める場合のみ、弊社のシステムをご紹介しております。
もちろん相談は無料で、不動産特定共同事業の活用が見込みにくい場合は、しっかりその旨をお伝え致します。
ぜひお気軽にお問い合わせください。